事業の目的

長浜は天正2年(1574)以来、後に天下人となる羽柴(豊臣)秀吉が開いた城下町である。その後、江戸時代は在郷町(商人町)として発展するが、この長浜町の歴史は、町の隅々に多くの痕跡を残してきた。そこでこの度、長浜市民が改めて町の長所・その「美」を見つめ直し、近世城下町としての長浜を伝承するため、自ら町の発展の跡を「長浜城下町遺産」と名づけ、毎年選定する制度を創設する。今後、この「長浜城下町遺産」の魅力を内外に発信することで、その活用を図り新たな長浜のまちづくりの端緒としたい。
なお、本事業は「長浜城下町まちづくり勉強会」が、平成29年度から令和2年度の4年間にわたって、長浜城下町をテーマに文化庁へ「日本遺産」の認定申請(認定はならず)を行なってきた取り組みを引き継ぐものである。

選定の方法

上記「長浜城下町遺産」のストーリーに適合した遺産を、長浜市長が委員長、長浜商工会議所会頭が副委員長をつとめる「長浜城下町遺産」選定委員会によって毎年10ヶ所程度選定する。

「長浜城下町遺産」選定委員会の構成団体

長浜城下町まちづくり勉強会、長浜市、長浜商工会議所、(公社)長浜観光協会、(一社)長浜青年会議所、近世城下町ふるさとまつり運営委員会、長浜地区地域づくり連合会、長浜商店街連盟、(株)黒壁、長浜まちづくり(株)、NPO法人 まちづくり役場、(公財)長浜曳山文化協会の各団体から選定委員を出して頂き「長浜城下町遺産」を選定する。

認定の内容

近世城下町長浜やその「美」を後世に伝えることができる遺産を、以下の分野から毎年10ヶ所程度選定する。なるべく、普段は注目されていない遺産を選定する。

①長浜の秀吉遺産(長浜城主だった秀吉に直接触れられる「美」の遺産)
毎年1ヶ所
②長浜の町屋遺産(城下町から発展した江戸時代・近代における長浜町の代表的町屋の「美」)
毎年3ヶ所
③長浜の景観遺産(江戸時代から近代に至って形成された長浜の残したい景観の「美」)
毎年5ヶ所
④長浜の産業・近代化遺産(江戸時代以来、長浜の経済を支えてきた産業・近代化遺産の「美」)
毎年1ヶ所

発信計画

情報を発信する対象は全市民と観光客であるが、以下の方法をとる。
①選定結果を記者発表し、新聞紙上やテレビ番組で紹介してもらう。
②選定結果を記したチラシを作成し、市内の文化・まちづくり関連施設・観光施設に配布し周知を図る。
③選定後、講演会・見学会・展示会(滋賀県立美術館)を行ない選定内容の解説を行ないつつ周知を図る。
④勉強会の会員が自らのSNSで選定結果等の内容を発信する。

協業・連携について

選定においては長浜市(長浜市 市民協働部 歴史遺産課)と協業し、専門的知識の提供を得る。また、事務局の支援を受ける。
さらに、「長浜城下町遺産」の選定に当たっては、長浜市、長浜商工会議所、(公社)長浜観光協会、(一社)長浜青年会議所、近世城下町ふるさとまつり運営委員会、長浜地区地域づくり連合会、長浜商店街連盟、(株)黒壁、長浜まちづくり(株)、NPO法人まちづくり役場、(公財)長浜曳山文化協会から委員を出して頂き、協力を得る。これらの市街地のまちづくりに取り組む団体と協力することで、より公平かつ効果的な「長浜城下町遺産」の選定が可能となる。

日程

長浜城下町遺産の選定、及び周知については、令和3年11月から令和4年2月にかけて、以下の日程で行なう。

①長浜城下町遺産「候補」パネル展
11月27日(土)~12月9日(木)
*「さざなみタウン」において、長浜城下町遺産「候補」25件の写真パネルを展示、入館者に10件を選んで頂く。

②長浜城下町遺産「候補」まち歩き
12月7日(火)
*長浜城下町遺産「候補」25ヶ所を「まち歩き」する。集合時間等の詳細は、後日発表。

③「長浜城下町遺産」選定委員会(「長浜城下町遺産」の決定)
12月13日(月)
 *長浜城下町遺産10件を、長浜市長が委員長となる選定委員会において決定する。

④長浜城下町遺産 見学会
1月上旬
*一般向けに選考した「長浜城下町遺産」10件の見学会を行なう。

⑤長浜城下町遺産 パネル展
2月8日(火)~2月18日(金)
*「滋賀県立美術館 ラボ」において、選考した「長浜城下町遺産」10件の写真パネルを展示し、周知を行なう。

⑥長浜城下町遺産 講演会
2月26日(土)
*選定した「長浜城下町遺産」に関する講演会を行なう。時間・講師等の詳細は後日発表。

新規制・独自性

「世界遺産」や「日本遺産」のように、他者による遺産登録・認定は、国内でも数が増えるに従い、そのまちづくりや観光・産業に与える効果は薄くなっている。
「長浜城下町遺産」は、他者ではなく市民自らがまちの遺産や「美」を見出し、それを保存活用していこうとする点に新機軸がある。他者に頼らず、自ら選ぶ所に、市民同士の対話や議論が生まれ、まち全体の活性化が図られ、末永く活用されることを期待している。